うわぁぁぁぁぁ!!! 自分の声に驚いて、十兵衛の目が覚める。 ハァハァハァ。 肩で大きく息を付いた。 ………… 夢…か…。 イヤな夢だ…。 この頃何度も繰り返し見るようになった夢…。 無限城で花月を殺すアノ時を、何度も、何度も、夢に見る。 「くそっ」 ………… 忘れるな…と、言う事なのだろうか!? 己の最愛の者を自分の手に掛けたという事実を。 ………… 十兵衛はそっとすぐ傍に眠る花月の頬に唇を落とした。 「花月…」 そっと頬に手を添える。 目…鼻…そして唇…。 「ん…っ」 十兵衛には見えていないが、花月が目を覚ましたようだ。 「十兵衛、どうしたの!?」 首をかしげて花月が尋ねる。 「ん!?あぁ、起こしてしまったのか」 そういうと突然花月の唇に自分の唇を重ねた。 「んっ…んんっ…」 唇からぬくもりが伝わる。 愛しい声が幸せな喘ぎ声を漏らしている。 あぁ、生きている…。 「…朝にはまだ時間がある。もう少し寝ていろ…」 ぽん、と花月の頭に触れて十兵衛は部屋を出て行った。 END